―百合色―
夏は、夕日が沈むのが遅い。


いつまでも、俺達をオレンジ色に染める。


隣に座って、何も話さない百合を横目で見ていた。



どうやら百合は緊張しているみたいだ。


だって、目が泳いでいたから。


そんな百合が可愛くて、
愛しくて─…


俺は百合をいじめた。


『何?百合緊張とかしてんの?』



『うえっ?』


やっぱり図星かよ。


『突然ごめんな?』


なんで俺謝った?


謝る事なんかしてねぇのに。


まぁ…いっか。



時々吹く、夏風が、俺達をゆっくりと包む。


『ううん…嬉しいよ?』


『えっ…まじ?』



『うん…』


『じゃあさ!!』


俺は両手で百合の顔を包む。


無理矢理、俺の方に向かせた。


百合は数回瞬きをし、
真っ直ぐ、俺を見てくれた。



『何?光輝…』


体が熱い。

沸騰しそうだ。
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