―百合色―
────…………


『…かい…こうき…』



誰かが必死に俺の名を呼んでいる。



『なんだよ百合!!』


俺は体を起こし、周りを見渡した。


『へ…?』


生徒達が俺を見てくる。



『今なんの授業だと思っているんだ!彼女の名前を呼ぶ時間ではない!』


教卓の近くにいる先生が、俺に怒鳴る。

今は、数学の授業中だった。


俺は眠っていたらしい。

昨日、遅くまで起きていたから。


そして、俺は、過去へとタイムスリップしていたみたいだ。


隣の席の百合を見ると、
百合は恥ずかしそうに、
下を向いていた。



『やべ…』


俺は百合に助けを求めるが、百合は俺の方を向いてくれない。



『ばか光輝』



君は俺の約束をずっと守ってくれている。


俺の名前を呼んでくれて、笑顔を見せてくれる。


そんな、秋晴れの日─…
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