―百合色―
俺の毎日の日課は、百合の降りるバス停まで送っていく事だ。

俺達は、いつもと同じ時間に来るバスに乗り、
限られた時間で、百合を感じる。



『ねぇ、今日本当に恥ずかしかったんだから!数学の時間!』



『あぁ…あれはね…』


俺は苦笑いをする。


『何考えてたの?』


『百合の事だよ?』


すると百合は、顔を真っ赤にした。


俺の得意分野は、数学でも、英語でもなくて、


百合を照れさせる事。


最高の得意分野だ。


『もう!バカ光輝!』



『あははっ怒った?』


『しらなぁ~い!』



百合は嘘つくのが下手だから、すぐ嘘だと分かってしまう。



『百合…』


俺はゆっくり百合の方に顔を近付けた。




百合…?


もっと君を感じたい。
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