―百合色―
瞼をゆっくり閉じていく─…


今日こそは…



『~…いや!!』



……またかよ。



今日も失敗。


『何で?』


『はっ恥ずかしいもん!』


いつもその理由でキス出来ない。


問題はこれだ。

一ヶ月経っても、一度もキスしたことがない。


百合はファーストキスって分かっているが、
俺はキスしたい。


『いつ出来るんだよ?』



『そのうち!!』


『いつもそうじゃん!』


溜ってんのかな…俺。


百合にも教えてあげたいんだよ。

愛しい人とするキスをさ。
でもいつも出来ない。


俺…いつか限界がくるよ?


『──○○前─』


バスの運転手のアナウンスの声が響いた。


『じゃあ光輝!また明日!』


『えっ百合!』


百合は急ぎ足でバスを降り、外から俺に向かって手を振った。


俺もつられて手を振り返す。



勝負は、明日。


明日で決めてやる。


明日の記念日で百合のファーストキスを奪ってやる!
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