―百合色―
『なぁ、光輝君?』


『何だよ…』


俺達のやりとりを、隣で全部見ていた、ゆかが俺に話しかけてきた。



『百合は、寂しかったんやと思うで?光輝君も素直にならな。お互い、そんな意地はってても進まへんで?』



『そうだな…うん…さんきゅ…』



ゆかの言葉で気付いた。

俺は何に意地をはっていたのだろう?


どちらかが謝らなくては、仲直り出来ないのに、

百合も俺も怒って、
どちらが謝るんだよ?


今日のケンカの理由は、
全部俺が悪いじゃねぇか。

俺が怒るのはおかしいだろ。


謝ろう…百合に。



…───…キーンコーンカーンコーン



『じゃあね~ばいばい~』

次々に、教室を出ていく生徒達。



『やばい…』


結局言えなかった。
百合は、一度も俺の方を向いてくれなかった。


どうしよう…


謝りたい。


謝ってちゃんと言おう。


《君が好きだよ》って。



自分の気持ちを素直に─…
< 200 / 353 >

この作品をシェア

pagetop