―百合色―
教えて欲しい?


俺が不安になる理由。


それは百合を愛しすぎているから。


好きで好きで…


大好きで大好きで…


胸が苦しい。


なぁ、これも正解だろ?


また桜の木がザワザワと揺れた。

これも──…正解だ。


『百合…』


俺は百合の名を溢す。


返事はないに決まっている──…



『なに?光輝』


ないと思っていた返事が返ってきた。


俺は慌てて声のした方に視線を向ける。


そこには、愛しい愛しい…


百合がいた。


『な…んで…百合が?』


状況が上手く把握できない俺。


『前にも言ったでしょ?
ここは私の大好きな場所だって』



そうだったね。
ここは、俺と百合の大好きな場所でもあって、

ここは、優さんと、あの人の大好きな場所でもある所だ──…
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