―百合色―
《ありがとう》

《ごめんね》

《好きだよ》

《愛してる》



何故、言葉はこんなにも難しいのだろう?


頭の中で浮かべる言葉は、簡単に言えそうなのに、

なかなか言えない─…


時間を沢山使ってしまう。

恥ずかしい事はなにもないのに、話すのは難しい。


それだけ、重い言葉なんだ──……



『ごめんね…百合』


やっと出た百合への謝罪の言葉は、今まで生きてきた中で、一番時間を使い、

そして、

一番重い《ごめんね》だろう。


百合?許して下さい。



『うん。分かった。
私もう怒ってないよ?
大丈夫!』


笑顔を見せる百合の腕を、グイッと引っ張り、

俺は抱きしめた。


百合の温もりを、
俺の体全体で、感じるため──…


強く…強く…抱いた。
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