―百合色―
『光輝?』


百合は俺を受け入れるように、抱き返してきた。


大きな月の前で、俺達は抱き合う。


この秘密の場所から、
この世界に住む全ての人に見せ付けてやるよ─…


『百合…聞いて?』



『なに?』


百合のサラサラの長い髪が、俺に当たる。

当たる度香る、百合の匂い。


髪の毛ひとつひとつが愛しい。


俺って異常?


しらねぇ─よ。



『俺、ずっとずっと百合だけだから!今も聞こえると思うけど、この心臓のでけ─音は、百合にしか鳴らないから!百合…好きだよ』


『ばか光輝…聞こえるよ?すごく鳴ってる…嬉しい。光輝…私も好きよ?ずっとずっと…』



俺はゆっくり百合を離し、百合へと再び近付いた─…
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