―百合色―
俺達の愛は確かに深まった。


あの日─…


今でも鮮明に覚えている。

百合の表情や、

百合の声、

百合のいやらしい音まで─…



──…


ゆっくりと目を開けると、綺麗な青空が目に染まる。


『光輝、いきなり黙るからビビったよ』


『ははっ』


『うわ!いきなり笑うなよ!だから変なんだよ!
てかタクミ!光輝!聞いて!聞いて!ゆかがさ─』



『もう聞いた!!』
『もう聞いた!!』


二人口を揃えて同じ事を言った。


そして三人で笑う。


全てが順調だ。


今幸せすぎる。


俺は忘れていた。


あの言葉を─…



《いつか奪いにくる》

思い出したくないだけかもしれない。


今の幸せが砕けそうで─…


百合との関係が崩れそうで─…


でも、もうそこまで悪魔は来ていた。
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