―百合色―
ドクンッ…ドクンッ…


気持が悪くなるほど、
心臓が鳴る。

これは緊張しているからとかではなく、動揺しているから─…


目の前にはマナがいて、

俺のすぐ後ろには百合がいた。


俺は、百合の目を見る事は出来なかった。


やましい気持ちはないのだが、百合の目を見る事は出来なかった。



『光輝…この人誰?
光輝の知ってる人?』



『あっあぁ…こいつは…』


俺が百合に話そうとした瞬間、マナが間に入ってきた。


『光輝の元カノよ?
光輝とよりを戻したくて会いに来たの。あなたこそ誰?』


俺はマナを見た。



何言ってんだよ…マナ…



『は?何言ってんの?
意味分かんね─事言ってんな。百合、気にするな』


百合は表情ひとつ変えず、一歩マナに近付いた。
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