―百合色―
『私は光輝の彼女だけど?光輝はモノじゃないんだから、取り返すとか言わないで!』


『百合…』


この日の夕日は、
あまり綺麗ではなかった。

薄暗くて、オレンジではなく、紅い──…


好きじゃない夕日。


そんな夕日が俺達3人を染める。


そしてマナも一歩、
百合に近付いた。


『ふ─ん。今日は一先ず帰るけど、絶対光輝は返してもらうから!』


『マナいいかげんに…』



『好きにすればいいじゃん。光輝、私帰るから』


百合はマナの横を通り、
帰って行ってしまった。

俺は百合の後を追う。


だが、マナに腕を掴まれて、先に進めなかった。



『ちょっ…離せっ…』


『光輝?また明日ね』


マナはまたあの不気味で怖い笑みを浮かべ、
百合と反対の道を歩いていった。


あの薄暗くて紅い夕日に吸い込まれるように─…
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