―百合色―
賑わしかった街が、
今はガラーンと寂しい街となっている。


マナは分かってくれただろうか?


『分かってくれた?』


『…どうしても…ダメなの…?』


マナはまだ分かってくれていないみたいだ。


『ダメだよ…だから言ったじゃん、マナには幸せになって欲しいって。
でもそれをするのは俺じゃない。俺には出来ない。
マナには他にいいやつがいるよ。なっ?』


『うん…』


マナは、ようやく俺の意見に納得をしてくれたみたいだ。


俺は立ち上がり、マナの方を見た。


もちろん、笑顔で。


『今までさんきゅ!
俺さ、何もマナにしてあげれなかったけど、マナの幸せを願ってるから』



『光輝…何で光輝はそんな笑顔なの?光輝の笑顔が眩しすぎるよ…』



『そんなの決まってるだろ?』



そんなの決まっている、


百合の笑顔に負けないくらいの笑顔になりたいから。


笑顔は人を幸せに出来るから─…


だから笑うんだ。
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