―百合色―
俺達は、ずっとお互いを感じていた。


百合から伝わる熱や、
想いが心地好くて──…


ずっとこうしていたい。


『光輝…そろそろ学校行かなきゃね、授業にちゃんと出よ?』



『そうだな…じゃあ行こうか』



俺は百合の手を繋ぎ、
学校へと歩き出した。


『ねぇ、光輝はまだ元カノの事好き?』



『さぁ、どうだろうね?』

俺は笑いながら言った。


『何それ─もう光輝なんて知らないっ』


『嘘に決まってんだろっ。百合が一番だっつ─の!!』


最近の俺は、恥ずかしい言葉を普通に言ってしまう。

でもいいんだ。


そう言うと百合は喜んでくれるからさ。



『百合も光輝が好きよ?』


『…分かってるよ…』


俺は足を止め、百合の唇に軽く自分の唇を当てた。


『…ばか』


『もう一回する?』



『…うん』



『…頂きます…』


再び俺は百合の唇に触れた。


マシュマロみたいな柔らかい唇が重なる。


俺は百合で最後でいい。


キスするのも、


全部、百合が最後でいい。
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