―百合色―
百合の部屋のドアを開けると、百合が体を起こし、
雑誌を読んでいた。


『百合!寝てろよ!』


俺は近くにあった膝掛けを百合の肩に被せた。

『パパの話なんだった?』

『あぁ、百合をこれからもよろしくだってさ』


『それだけぇ─?』


『それだけだよ』


俺は百合を優しく包んだ。

『百合、何読んでんの?』

後ろから、百合が読んでいた雑誌を覗いた。


『旅行雑誌だよ!』


百合が読んでいた雑誌は、観光案内の雑誌だった。


『あっそっか、百合と旅行行くんだったな』


『忘れてたの?』


『違うよ!百合はどこに行きたいの?』


俺はパラパラと雑誌を捲っていく。


すると、角が少し折れていた部分を見つけた。
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