―百合色―
亜衣がいきなり歩くのを止めた。


『どうした?』


『ごめん…私…光輝の事…弟にしかみえない…』




………は?

何言ってんの?いきなり。


道のど真ん中で言われた言葉。


俺はしばらく何も言えないままだった──…



『は…?意味分かんねぇ…お前が付き合ってって言ったんじゃん!
お前が好きって言ったんじゃん!なのに今更…弟しか見えないって何?』



『ごめん!…ごめんね…
光輝の事好きだったよ…
でも…ごめん…』


何度も何度も謝る彼女に、だんだんと腹が立ってくる。


そして俺達のやりとりを振り返り見る通行人にも腹が立つ。



…見んなよ…



『勝手な女だな。
もう関わりたくねぇ』


俺は亜衣から離れていく。


しばらく歩き、俺は振り返る。亜衣は、俺と反対方向へと歩いて行った。


『…今までありがとな…』

この街に、雪が降りだした。


ホワイトクリスマス。


この街に降り積もる雪が、
俺の心を余計冷たくした。
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