―百合色―
何かあったのか?


『タクミ!教室の前に萌ちゃんがいるぞ!』


『………』


タクミは何も話せない。

聞いてんのか?


『やったな!タクミ!早く行って来いよ!』


俺はタクミの肩を揺さぶる。


タクミは今だ呆然としたまま。


『おいっタクミ!早くしねぇと時間なくなるぞ!』


亮の言葉でタクミが現実へと戻り、慌てて教室を出て行った。


残された俺達は、
タクミの必死な姿に、
思わず笑ってしまった。


『あいつ無器用だからなぁ…』


『まぁ、それがタクミの良いところでもあるな』


『タクミ…ウケるっ!』



タクミには幸せになって欲しい。


いつも俺の傍にいてくれて、

いつも励ましてくれたり、
一緒になって悩んでくれたり。


あいつにもそろそろ幸せが訪れてもいいんじゃね?
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