―百合色―
『タクミ、萌ちゃんは彼氏いんの?』


『…いないって言ってた』


『じゃあチャンスじゃね?頑張れよ、タクミ!』


『あぁ…はぁ…』



タクミは外を眺めながら、ため息を溢した。


そのタクミの姿を見た俺は、すごくかっこいいと思ってしまった。


タクミが幸せそうで、
羨ましかった。


好きな人のためにため息を溢せるなんて、

かっこ悪くないんだな。

逆にかっこいいんだな。


俺も、百合を想い、
ため息を溢したい。



早く、時間よ過ぎろ。


速く、地球よ回れ。


もう百合に会った時に言う言葉決まってるよ。


君の顔をちゃんと見て、
言いたいよ。


苦しい、苦しい、
痛い、痛い、


この胸の中のでかい気持ち、


君に言いたい。
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