―百合色―
───………



桜が、もう舞うのをやめる時期だ。


そして、夏を迎える。


相変わらず、俺は百合を想っている。


季節が変わっても、
周りが変わっても、

俺はなに一つも変わっていない。



街中で、百合に似ている人を見ると必ず振り返って見てしまう。


百合にまだ恋をしているという立派な証拠だろ?


早く、タクミみたいに春が訪れればいいのに。


俺は、学校の帰り、
本屋へと向かった。


今日は、あの発売日。

優さんの写真集の発売日だ。


俺はフォト雑誌コーナーへと向かい、雑誌を手にした。


今回の雑誌の題名は、

『君との旅』



この写真集を開けた瞬間、

また俺の胸は苦しく、痛くなった。
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