―百合色―
マナだ──…


今日初めてマナの存在を知った。


5月だっていうのに。


俺ってバカだよな?


こんな可愛い人が同じクラスにいた事を知らなかったなんて─…俺バカだよ。



立ち止まり、俺はしばらくマナを見ていた。


マナは、照れた表情をして足早に俺を抜かしていく。

そんなマナが可愛くて、
ドクンと胸が弾んだ。


オレンジ色の太陽が、
俺を街と一緒に染める。


良かった。


太陽がオレンジで。


今の俺はきっと…


ピンク色の頬をしているから──…



『何やってんだよ、光輝。早く行くぞ?』



数十メートル先にいるタクミが、俺を呼ぶ。


俺は笑顔でタクミとの距離を縮めて行っただろう。



タクミは言わなかったが、気付いてたんだろ?


俺がマナを好きだって。


だって、お前…

俺の親友だもんな。
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