―百合色―
俺は勢いよく教室のドアを開け、席に着いた。


周りはシーンとなっていた。


そんな重い空気の中、
俺を呼ぶ声が聞こえた。


『…こう…き?どうしたの?』


隣の席の百合だった。


『あ?別に?』


百合に冷たく言ってしまう俺。

みるみるうちに百合の顔が沈んでいく。



やばい…



『人が折角心配してるのに!』


百合は怒ってしまった。
そりゃそうだろう…

誰だってこんなキツイ言葉言われたら怒るよな…



『……悪い』


『どうかしたの?』


百合の言葉が俺の心に突き刺さる。

百合には嘘をつけない。


『女ってさ?何考えてるか分からないよな』



『どうして?』


『彼女が俺の事好きか不安なんだわ…』


百合には素直に話せてしまう。

百合はやっぱ不思議な力を持っている─…


そう思った瞬間だった。
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