―百合色―
俺は逃げてばっかりだ。

嫌な映像を見たくないから、見ない事にする。

逃げる去る。


俺は逃げている。


現実に向き合わなければならないのに、逃げる事しかできない臆病な人間だ。


そう考えれば考える程、
沈んでいく。



『どうすればいいんだよ…』


するとパタパタと足音を出し、俺の近くへと近付いてくる人がいた。


その音は俺の隣で止まる。


百合しかいない。


『光輝?いつまでそんな顔でいるつもり?』


『は?』


さっきまで泣いていた百合。
だけど、さっきまで泣いていたようには思えないくらい、すっきりした顔をしていた。



『光輝に笑顔がないとつまんないんだけど』



何だそれ。
つまらないって何だよ。


『何だ…それ』


『笑いなよ?光輝』


俺を励ましてるの?


『百合…お前ってホント馬鹿だな』
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