―百合色―
『どうした?マナ』


マナはいきなり俺に抱きついてくるから、こう言うしかない。


マナは俺の胸に顔を埋める。


マナは黙ったままで、
俺を抱く力がだんだんと強くなっていく。


『光輝…好きよ?ずっとね』



『ははっ俺もだよ?ずっと好きだって』



『ずっとね!』


俺とマナは見つめ合い、
接吻を繰り返す─…



マナの今の言葉で、
俺の不安はもうないよ。


マナを信じるからさ、
マナも俺を信じてね?



もう隠し事はなしだよ?



『またね』


『またね』


二回目の別れの時。


マナがゆっくりと家に入っていく。


俺はずっと見ていた。



マナは最後の最後まで…
俺に笑顔を見せた。



今日は街灯なんかいらない。

今日の月はすごく輝いていて、明るい月だから。


だから、暗い道でも、こんなにはっきりと道が見える。



『光輝?』


だから、人影もはっきりと見える。
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