―百合色―
あの鈴木優さんが撮った写真と、全く同じだ。


俺はベンチに座り、
目の前の綺麗に染まった夕日を見た。


夕日色に染まる街、
夕日色に染まる俺──…


その風景を見ていると、
なぜか、目には涙が溜ってくる。


桜の木の音や、
次第にグラデーションかかる空が、俺を癒してくれているみたいだ─…



『やっぱ鈴木優さんに尊敬する。俺、こんな場所あるなんて知らなかった…』


この場所は、俺だけの秘密の場所としよう。


また辛くなったら、
ここへと来よう。


俺は、見えかけた星空を見た。



俺の目には、一番キラキラと輝いている星が写った。

『また来るよ』


俺はその星にこう呟くと、その星は、答えるかのように、また輝いた。
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