―百合色―
早く電話を切りたかった。早く、このおかしな症状を、止めたかった。


『だから仲良くしてやってくんねぇ?』


こんな事思うはずない。
仲良くなんてしなくていい。


『はぁ…?』



『だから今日連絡先聞いたの!多分そいつから連絡来ると思うし!』



『ちょっと…自己中すぎ…』


百合の一言で、俺の胸に冷たくて鋭いナイフが刺さる。


自己中?
…そうかもな…


俺の心臓の高鳴りと、
鼓動の加速は、次第になくなっていく。



徐々に冷静を取り戻した。

『そうか?いいじゃん!
そいつかっこいいし、悪くねぇから!じゃあな!』


かなり投げやりな言い方。

そして俺は電話を切った。


─プツ…ツツ──…


今まで百合の声が聞こえていた携帯には、今は何も聞こえない。
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