priere (プリエール)
――ピンポーン――



――ピンポーン――







「はい?」






聞こえてきたのはインターホンからではなく玄関先






しばらくして悠久がひょっこり顔を出した







「あっ!悠久。ごめん突然。ちょっと渡したいものがあって。」





「うん。」










悠久と長年付き合っている私が





悠久の異変に気付かないわけがない





悠久の様子がおかしいことは、すぐにみてとれた





「どうしたの?」



「何が?」



「何かヘンだよ!」



「べつに・・・」



「そう・・・?」





そう言いながらカバンへと視線をうつしたとき・・・





玄関にある女もののローファーが目に入った





それも私が履いているものと同じもの・・・





悠久へと視線をうつすと





明らかに動揺した表情をうかべている





「ちょっと、どいて!」





私は悠久を押し退け家へ上がりこむと





2階へ駆け上がり悠久の部屋の扉を勢いよく開けた





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