スケッチブック【完】~対立した二人の過去~
あたしが描くのは
教室から見える景色がほとんど。

だから雨の日なんかは、雨の強さによって違うから
描くのが楽しい。

景色の中でも
空は描くのが一番好き。

一時間経つと
さっきまでとは違う景色が見れる。

全く同じ雲もないし、時間によって色が変わる。


たぶん景色の中で一番描きがいがあると思う。


そんなふうに絵を描くのが好きなあたしは
自分のスケッチブックを、常に持ち歩いている。


「夏のスケッチブックも
あとちょっとで終わりかぁ~。」

ため息を吐きながら
さっきからあたしと話してるのは
小雪 知那(サユキ チナ)。
一応、幼なじみ。

「最近、夏売れっ子だもんな~。」

「う、売れっ子って…。」


あたしはその言葉に少し苦笑。


「だって1週間に一人はあげてるんでしょ?」


あげると言うか…

あたしは一度、絵で賞をとったことがあり
それが何やら大きな賞だったらしく
1週間に一人は将来大物になる前に、と絵を貰いに来る。
しかも最近じゃ、先生にも頼まれる始末。


まぁぶっちゃけ先生がそんなことしてていいのかよって感じなんだけど。

< 2 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop