スケッチブック【完】~対立した二人の過去~
理由
あたしと黒沢は
走って皆野川の堤防に行った。
着いたと同時に携帯が鳴る。
「はい」
『夏~!?
今どこ!?』
それは当然というべきか。
知那からの心配の連絡だった。
どうやら、知那はあたしと黒沢が逃げたことに気付いてないようだ。
「知那…
ごめん。
お腹痛くて、先に帰っちゃった……。」
もちろん嘘。
『ったく
それならちゃんと、連絡してよね!』
怒った口調で知那が言う。
実際怒っているのかどうなのかは分からない。
「うん。
ごめん…
じゃあね」
『うん。
お大事にね!』
ピッ
その言葉を最後に、あたしは電話を切った。
それから少しして後ろで声がする。
「おい…。」