スケッチブック【完】~対立した二人の過去~
「あのままにしといたら、あんたは見つかり、
あの絵は大々的に、取り上げられるでしょうね。
でも、そうするとあの絵は、
京さんの最後の作品として
【可哀相な絵】というイメージがつく。
それじゃいけない。
あんな暖かい絵が、そのままで見てもらえなくなる。
それが嫌だっただけ。
あんたがどうして、絵を描く人を嫌うのか知らないし、どうするつもりもない。
けど、京さん…あんたのお父さんは
幸せだったと思うよ。
いい奥さんと、かっこいい息子に囲まれて…
じゃなかったら、あんな暖かい絵が描けるわけないから」
あたしは、黒沢の目をじっと見つめながら
話した。
すると、黒沢はいきなり座り
口を開いた。
「俺の父さんさ…
いいやつで、こんな俺にもいつも構ってくれたんだ。
それでさ、父さんに言われて一度だけ
絵を応募してみたんだ。
雨が降ってる日で…
父さんが出しに行った帰りだった。
車にひかれたのは。
雨で視界が悪くて、ブレーキが間に合わなかったって…
父さんは即死だったって」
そこで黒沢は、一度口を閉じた。
はじめて聞く黒沢の、過去。
あの絵は大々的に、取り上げられるでしょうね。
でも、そうするとあの絵は、
京さんの最後の作品として
【可哀相な絵】というイメージがつく。
それじゃいけない。
あんな暖かい絵が、そのままで見てもらえなくなる。
それが嫌だっただけ。
あんたがどうして、絵を描く人を嫌うのか知らないし、どうするつもりもない。
けど、京さん…あんたのお父さんは
幸せだったと思うよ。
いい奥さんと、かっこいい息子に囲まれて…
じゃなかったら、あんな暖かい絵が描けるわけないから」
あたしは、黒沢の目をじっと見つめながら
話した。
すると、黒沢はいきなり座り
口を開いた。
「俺の父さんさ…
いいやつで、こんな俺にもいつも構ってくれたんだ。
それでさ、父さんに言われて一度だけ
絵を応募してみたんだ。
雨が降ってる日で…
父さんが出しに行った帰りだった。
車にひかれたのは。
雨で視界が悪くて、ブレーキが間に合わなかったって…
父さんは即死だったって」
そこで黒沢は、一度口を閉じた。
はじめて聞く黒沢の、過去。