スケッチブック【完】~対立した二人の過去~
「んなの貰ったって
邪魔なだけなのに…。」

あたしはため息を吐きながら言う。

「本人達にとっちゃー価値があるんじゃない?」
と、知那はニヤニヤしながら言った。

……。

「あっ何?

その人を小馬鹿にするような
呆れた目は!!」

「あー、ハイハイ」

あたしは、
少しムキになる知那を、軽くあしらいながら席を立つ。

「あれ?
どしたの??」

首を傾げながら
知那はあたしを見る。

「…──次のデッサン
人物だから……。」


あたしはそれだけ言うと
スケッチブックとペンを持って
教室を出た。


幼馴染の知那でも、あたしがどうして人物を描かないかは知らない。

知ってるのは突然人物画は描かなくなった、ということだけ。



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