スケッチブック【完】~対立した二人の過去~
「それからかな。

人が描けなくなったの。
人を描こうとすると、あの日のこと
思い出して…」

気がつくとあたしは、涙を流していた。

「夏…」

葉はばつの悪そうな顔で、あたしを見つめる。


それでも心配かけまいと言ったその言葉。

「あっ、この絵あげるよ!」


あたしは、一番最後に描いた絵を葉に
渡そうとした。

その瞬間

「きゃっ!?」


強い風が吹き、手から絵が奪われる。


ウソ…。




デジャヴ

あの時と同じように、藤棚に絵が引っかかった。



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