Heavenly sky-あたしと君に残された日々-
刹那、今まで以上にあたしを強く抱きしめた疾風に、声が出なかったからだ。
『ごめん…ちょっとの間このままでおらせて…』
『疾風…?』
彼らしくない弱々しい声色に、思わず困惑してしまう。
ふわり、頬をかすめた黒髪が蛍光灯の光を浴びて艶やかに輝いた。
あたしはその髪にそっと触れると、彼の頭の上をゆっくりと往復させる。
『辛かったんやね、疾風』
『……』
『もう大丈夫やよ、あたしがおるから』
『……』
静かな病室の中、あたしの言葉に何も返さない疾風。
そんな彼は涙を流さないように必死で堪えているようだった。