Heavenly sky-あたしと君に残された日々-





―――…これは、何?


そう思ったと同時に雨が強くなり始め、本格的に身体を濡らし始める。


高校の新しい制服が水を吸って、色を濃くしていく。


あたしは寒さにガチガチと歯を震わせて、その僅かに開いた口の隙間から蚊の鳴くような声を発した。


「―――…なた」


聞き取れないくらい弱々しい声に、本当に自分なのかと疑いたくなる。


「…ひなた」


もう一度繰り返されたそれに、やっと自分が日向を呼んでいる事に気がついた。





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