Heavenly sky-あたしと君に残された日々-





地味に痛みそうな切り傷に、反射的にその手を掴む。


『日向、血が―――…』


眉を寄せそこまで発したあたしが、その先の言葉を紡ぐ事は無かった。


…正確には、紡いだけれど掻き消されてしまった。


あたし達がここへ来てから今までの間、一度も開く事のなかった保健室のドアが、突然開いたからだ。


―――そして。


「せんせぇー?」


少し遅れて聞こえた可愛らしい声にふと視線をやれば、そこには見覚えのある女の子が立っていた。


開いたドアの隙間からひょっこりと顔を出し、笑窪(えくぼ)と変わらないショートボブの髪が印象的。







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