Heavenly sky-あたしと君に残された日々-
「なに?」
キーキーうるせぇ。
仕方ないから耳を傾ければ、
「顔が良いからって、何しても許されるわけ!?」
何だよ、くだらねぇな。
俺はフッと笑うと、彼女に背を向けひらひらと手を振った。
「あんたには言われたくねぇよ」
―――そう、言葉を残して。
少し足を進めた後、
「なに、まさかお前も陽菜ちゃんラブ?……ははっお姫様はモテるなぁ」
風に流れて、稲葉のそんな言葉が聞こえた気がした。
久しぶりに人を殴った感覚は、少しの間消えそうにない。
軽く視線を落とし、自分の拳を見つめる。
少し、夢中になりすぎた。
こんなにも周りが見えなくなるくらい殴ったのは陽菜のため?日向のため?それとも―――…
それはきっと、自分でも分からない。