Heavenly sky-あたしと君に残された日々-





「陽菜、」


呼ばれて顔を上げると、ふわっと風があたし達を包んだ。


温かい、優しい風。


頬を流れ、髪を揺らし、そして屋上を過ぎ去る頃。


「あの日―――」


彼が、口を開く。


「あの日から、俺の時間は止まったままや」


その、かたく胸に秘めた真実を。


ゆっくり、たどたどしく、けれど確実に。



―――あたしは瞼を閉じ、そんな日向の手を握った。




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