Heavenly sky-あたしと君に残された日々-
「ん?なんやねん」
俯くあたしの顔を覗きこみ、彼が首を傾げる。
『…なんでもない。帰る』
「え?」
素っ頓狂な声を上げる日向をよそにスタスタと歩きだす。
「おい、なんで帰んねん?」
教室のドアの前で肩を掴まれ足を止めるも、振り返ることはできない。
―――やっぱり、そうなのか。
不安があたしの目を刺激し、どうすることも出来ない。
「なぁ陽菜どうして―――いって!」
あたしの顔を覗きこもうとした日向の頭を、平手ではたき歩きだす。
薄い膜を張った涙がぽろぽろとこぼれ、風に乗って流れてく。
怖い、悲しい。けど、日向にこんな涙見せられない。
手がじんじん痛い、胸も苦しい。
なのに、ここにいる。あたしはここにいる。
―――近そうで遠い、この場所に。
まだ感触の残る手を、ギュッと握りしめた。