Heavenly sky-あたしと君に残された日々-
ゆっくりと壱夜の視線を追うと、ついさっき帰ったはずの陽菜がドアの前に立っている。
その赤く腫れた目と今にもこぼれ落ちそうな涙が、聞かなくても全てを語っていた。
嫌な動機が身体にめぐり、陽菜の目から大粒のしずくが零れる。
『うち、消えんの?』
そう弱々しく今にも消えてしまいそうな声が俺の鼓膜を伝い、心を揺るがす。
何も言えない俺たちに、陽菜の目は全てを悟ったように光を失った。
静まり返る部屋に響く、秒針の音。
こうしてる間にも、俺たちの時間は進んでいく。
けれど陽菜の時間はあの日から止まったままで、それがこんなにも苦しい。
―――もう二度と、俺たちと同じ時を刻むことはない。