Heavenly sky-あたしと君に残された日々-






『もう…行かなあかん』


自分の消え始めた手の平を見つめながら、後少しであろうその時間にそっと呟いた。


すると座ったままの日向が、まるで抱きしめるようにあたしの身体に腕をまわし、耳元で「ごめんな」と囁く。


謝らないといけないのはあたしの方なのに、こんなときでも日向は自分を責める。


でも、そんな日向だからこそ。


そんな優しい日向だからこそ、あたしは大好きになったんだ。


『うちの方こそ、ほんまごめん…』


「……」


『でも、それ以上にありがとう』


「……あぁ」


『出会ってくれてありがとう』


「……俺もや」


『こんなうちを好きって言ってくれてありがとう』


「めっちゃ好きや、陽菜」


『……っ…うち、めっちゃ幸せやった』


ぎゅっと力を込めて日向の身体を抱きしめるけど、その手は虚しくもすり抜けていく。


でも何故か暖かくて、優しくて、たとえ触れることはできなくても、日向の温もりはここにあるんだと確かに感じた。





< 830 / 841 >

この作品をシェア

pagetop