王宮の果実
実らない初恋
† † †
初恋は実らないっていうけど……あれは真実ね。
フェンレントが私の前に現れた時の事よ。
(あれは……もう10年も前の事になるのね)
それはもう……一目で恋に落ちたわ。
美しい銀のサラサラの髪に緑の瞳。
滑らかな透けるような肌を持つ同じ年ほどの男の子は、私にニッコリと微笑むと形よい唇を開いて
「お初にお目にかかります。
アリシア様。
東の国に咲く可憐な白百合のごときあなた様とお近づきになれた事、大変光栄に存じます」
現在の彼が口にすれば、途端に鳥肌が立ち寒気を感じて熱でも出そうな賛辞を述べられ、当時の私は舞い上がった。