王宮の果実
「あなたはイチイチ反対しないのね」
無言で付いてくるクロエをチラッと見たら
「俺は姫に従います」
真面目な顔で一言。
実はこのクロエも幼なじみ。
小さな頃から今と変わらず無口で忠実。
顔の筋肉が固定されちゃったのかっていうくらい、いつも同じ、少し怒ったような表情。
でも実は誰よりも私に優しいの。
クロエはどんな私でも認めてくれる気がする。
ホッと一息つける存在。
私は王宮内部にある中庭まで歩いた。
中庭には石を綺麗に並べて作られた池がある。
この国の象徴である水がふんだんに張られて、いつも綺麗な花が浮かべられていて。
中央に屋根付きの小さな休憩所があって、そこでお茶を飲みながら池を眺める事も出来る。
私のお気に入りの場所。