王宮の果実



パーティー会場から少し離れ月明かりの中、

一定の距離を置いて付いてくるクロエと中庭の休憩所に向かう。




中に入ろうとして、入り口で私は立ち止まった。


休憩所の中に人影があったの。


相手も私に気づいた様子で、



「……どなた?」


入り口から少し離れながら聞くと



「ああ、これは失礼致しました。アリシア姫ですね?」


歌を歌うような心地いい声が中から響いて



「貴方の避難場所と知らずに此処でしばらく涼ませてもらっていました」



月明かりに現れたその人は、



キラキラと飴のように輝く金色の髪を揺らし


絵で見た海のようなブルーの瞳を持ち



この国のように原色の派手な衣装でなく、シンプルで質の良い正装に身を包んでいた。



いつか見たお話の王子様そのもの……!



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