王宮の果実
しぶしぶベッドから起き上がり、マリーに急かされるまま食事に手をつけようとしていた時だった。
部屋のドアがノックされたの。
マリーが扉を開けると、眉をしかめたフェンレントが立っている。
あら、嫌な予感……。
「アリシア様、勉学の時間をとっくに過ぎていますが……?」
フェンレントと私は同じ先生から教えを受けている。
待たせるな、という苛立ちがありありとフェンレントの顔に出ていた。
「あら、どういたしましょう……姫様、朝食にまだ手をつけておられませんの」
マリーは困ったように、私とフェンレントを交互に見比べたけれど、
そんなのフェンレントの知ったことじゃないわよ。
ええ、この男に限っては。