Kissシリーズ・「執事とのキス」
「アンタは楽しんでいるだけでしょうがっ!」

「うん、それもある。でもそれもキミが言ったことでしょう? 『自分で人生を楽しめ』って」

「うっ…!」

くらっと目眩がする。

するとつい一ヶ月前のことが、走馬灯のように思い出せた。

一ヶ月前。

アタシは部活で遅くなって、とうに下校時刻が過ぎた後に帰りのバスに乗った。

学校から駅までのバスには、アタシと運転手、それに彼の3人しかいなかった。

彼には迎えの車が来る時と、こうやって帰る時があることを、何度か目撃して知っていた。

同じクラスで、周囲からは王子様扱いされている彼のことは、イヤでも意識に残っていた。

だけど断言できる。

恋愛感情では無かった!

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