Kissシリーズ・「執事とのキス」
顔を拭いてあげながら言うと、いつも柔和な笑みを浮かべている彼の顔が、無表情になった。

「オレは別に…。どうなっても良かったんだけどな」

「えっ?」

彼の呟きに、手が止まる。

「…別に生きてても死んでても、オレにとっては同じだし。あ~でも痛いのはキライなんだよな」

…アタシの、目の前にいるのは、誰?

いっつもニコニコと笑っている彼じゃなく、とても冷めた目と表情をする彼は…。

「なっ何でそういうことを言うのよ! 人が羨むような人生送ってるんじゃないの?」

「あ~それね。よく言われるけどさ。自分が望んでいないものが周りに溢れてたって、意味無いと思わない?」

「それはっ…!」

…そうだけど。
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