COLORS【藍】 藍暖簾 (with響紀様)
腰をおろし室内の暖かさでようやく本来の熱を取り戻した男は血色がいい。
そこらの客とは違って髪も油ギってなく、サラサラの黒髪。
スーツを少し着崩した姿がまた様になっている。
「さぁ、どうぞ温まるよ」
「あの、僕まだ頼んでないですよ」
「いいから、これはアタイからのおごり」
雪だるまの男が戸惑いながらも、出されたおでんにゆっくり箸をつけ始めた。
「藍ちゃん、若いもんだけひいきかぁ」
「やだね、焼きもちかい? それじゃしょうがないね今日は皆に一品だけおごるよ」
「ぅお、藍子さん太っ腹~。いただきます」
何だかんだで、この店に来る客たちは和気あいあいとしている。
此処に来る者は、皆家族とでもいった感じだろう。
「ちょいと、寝ているところ悪いんだけど、テツさん、あんた如月って人知ってるかい?」
「キサラギ?」
ウタウタと眠りから引き戻されボンヤリと眼を開け呟いた。
「そう、如月。客人が見えているんだ」
「俺も如月だぞぉ。ウィ~ック」
すっかり出来上がってしまったようだ。
「あ、如月さん!! 人を呼んでおいてもう酔っ払らってるんですか」
「なんだぁ?」
「僕です、笹部ですよ」
「おぅ、笹部っちよく来たなぁ。さぁ、飲め飲め今日はブレイコーだ」
笹部くんもとんだところに登場してきたものだ。
さて、一体何が始まるというのか――。