社長のご指名
「梨珠さん、ありがとうございます。」


「何が?」





そうやって惚けているけど、本当はわかってるの。





私がテレビに映る事。





そうなったら、自宅や会社にまでマスコミが押し寄せる。





1日で諦めてもらえる事じゃないから、私と紗衣の事を考えてこの別荘に呼んでくれた。





「ねぇ、ちょっと聞いていい?」


「はい。」


「あの社長と付き合ってるの?」





びっくりして、紅茶を吹き出すところだった。





「な゙っ………付き合ってないですよ!」


「へぇ〜…じゃあ好きなの?」


「恋愛感情はないです…。」


「あら、社長さん振られたのね。」

「な゙っ…なんで……。」





誰も知らないはずなのに……なんで梨珠さんが知ってるの?





「私に知らない事なんてないのよ?」





背筋が凍る様な、笑みを浮かべ言い放たれた。




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