社長のご指名
「無理強いするつもりはないわ。けど、恋愛してもいいんじゃない?」


「………。」


「私は、章菜の気持ちがわかるわけじゃないわ。どれほどの悲しみか痛みかなんて到底理解出来ない。けど、これから先の貴女を応援したい。」


「応援……ですか?」


「そうよ。忘れられないのかもしれない。心に決めてるのかも知れない。それでもいいのかもしれないけど、章菜にはもっと幸せになってもらいたい。」


「私は、今でも幸せです。」





可愛い可愛い、自分の命より大切な紗衣がいる。





それが、私の幸せ。





「ええ、知ってるわ。見てればわかるもの。私が言いたいのは、もっと欲張りなさいって事よ。」





もっと欲張る―――…?






何を?何を……欲張ればいいの?





「今以上に幸せを求めなさい。章菜に罰なんか当たらないわ。あの人もそう思ってるんじゃない?」




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