社長のご指名
紗衣が起きないように、トーンを落として話してるとすぐアパートに着いてしまった。





「あのっ!アキ、さんですよね?」





階段を上ろうとしたら声をかけられ、振り向くと男の人が立っていた。





私より年上かな……服も雰囲気もわりと落ち着いてる感じがした。




「あの、ファンなんです!」


「ありがとうございます。」


「握手してもらえませんか?」


「はい、いいですよ。」





持っていた荷物を地面に置き、握手をする。





「本当にありがとうございます。うわーどうしよう!」





握手した手を見ながら喜んでる姿を見ると私まで喜んでしまう。





「ありがとうございました!」





そう行って、男の人は私達が来た道を歩いて行った。





「もう、手は洗いませんとか言いそうだったね。」





にやけ顔の紫穂を抜かして、階段を上る。




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