社長のご指名
顔を上げると先生も辛そうな顔をしていた。





「章菜っ!」





乱暴に開いた扉の先に紫穂と海堂社長が立っていた。





「章菜っ!」





駆け寄って来た紫穂が私をギュッと抱き締める。





「よかった……生きててよかったっ。」


「紫、穂……。」


「ビックリしたんだから……心臓止まりそうだったんたからっ。」

「紫穂……紗衣が…紗衣……。」


「一緒に待とう。」





私も紫穂も涙が止まらない。





「私……私がいけないの…。」


「章菜…?」


「私が手を繋がなかったから…ちゃんと注意しなかったから……庇えなかったのっ。守るって…私達の紗衣だから守ろうねって約束したのっ!」


「章菜っ!」


「イヤよっ!1人はイヤっ!もう…私を置いて行かないでっ――…。」

「章菜…大丈夫。紗衣は戻ってくるし、いなくならない。章菜を置いて行かないから。」




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