社長のご指名
紗衣を産んで三ヶ月経った時、お母さんがこっちに来てくれた。





オムツを替えて、ミルクもあげて、その後はほったらかし状態だった。





お母さんが来てからは、殆ど任せっきりにしてしまった。





「紗衣、寝たわよ。」


「お母さん…私には無理。育てられない。」





育児が楽しいなんて一度も思わなかった。





「じゃあ、なんで紗衣を作ったの?」


「修一との子供が欲しかったから。でも、もういらない。泣いてばっかで煩いし、私が寝れない。」




この言葉は今でも忘れられない。




忘れちゃいけない。





「子供が子供なんか作るからよ。」




一番言われたくない言葉だった。




「みんなして子供、子供って…私は20歳よ?もう子供じゃないわ!」

「子供じゃない。責任を持てない、義務も果たせない。生半可な気持ちで子供を作ったのは誰?修一くんはなんで反対したかわかる?」



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